コラム

水墨画を描く準備をしよう

【描く前に】

今回は書く前に必要な知識

主に

・筆の握り方(持ち方)
・墨に含ませる水分の量

についてお伝えいたします。


筆の握り方(持ち方)

専門的な話をすると

単鉤(たんこう)=えんぴつに握り方
双鉤(そうこう)

※読み方を覚える必要はないです。

単鉤(たんこう)=えんぴつに握り方

双鉤(そうこう)

とありますが、持ちやすい方でOKです。

鉛筆握りが一般的にはしっくりくると思います。

ちなみに私も鉛筆握りです。(慣れているので)

持つ位置

筆は毛先に近いところを持つほど安定して、離れるほど稼働しやすくダイナミックに描けます。

肘について

時々

「肘をついて書いてもいいのですか?」

という質問をいただきます。

先に回答をのべますと

肘をついて書いてもOKです。

 

動きを持って大きく書きたいときは肘を必然的に離して描ことになります。

懸腕法(けんわんほう)

ですが、細かい絵を描こうと思うと肘をつかないとはっきり言って描きにくいです。

ですので、以下の写真のように肘をつくことは大丈夫ですし、

水墨画の本などでもちゃんと紹介されています。

提腕法(ていわんほう)

 

もっと手を安定させたいときは?

腕のをさらに手で支えるとより手首が安定して書きやすいですよ。

以下の写真参照

枕腕法(ちんわんほう)

※持つ位置も、支えるところから書くところまでが近いほど安定して細かい動きができ、離れるほどダイナミックで動かしやすくなるので、状況に合わせて上手に使い分けましょう。

(慣れてくると、自分の書きやすい態勢に無意識に動くようになりますよ♪)


筆の毛の使う部分

描く際は毛の部分をすべて使うのではなく、毛全体の半分~7,8割を使うとイメージするとわかりやすいです。

 

墨に含ませる水分の量

描き方をお伝えする前段階としてお伝えしたいことがこのトピックです。

水墨画で何かを描くときは墨と水で調墨した墨を使います。

調墨についてはこちらから

普通に墨で描く時もですが水と混ぜているとより筆が墨を水分を吸収します。

①筆に墨をつける
 ↓
②紙に書く

としてしまうと

・紙がジトっとしてしまう
・意図せず滲んでしまう
・線をうまく描けない

などのデメリットが発生してしまいます。

ですので、絵皿から筆をとる際に、絵皿のへりや紙(布)で適度に水気をきる必要があります

にじまず、これくらい伸びる水分量がベスト

※次の道具の配置で説明していますように、どれくらいの色合い、水の含み具合かがわかるように テスト用紙もあるとよいです。調墨のグレーの色合いも確認できるのでお勧めです。

道具の配置例

簡単墨汁バージョン

ここでは、配置例と筆の運びをお伝えします。

① 墨汁の原液

② 墨汁ではなく、水と混ぜた淡い墨(淡墨)が入っています。

③ 水気をとったり、色がわかるようにいらない紙
(新しい紙をつかうのはもったいないので)

※狭い机で撮影してしまったため筆と紙が重なっていますが、筆は、絵皿の右などに置くと筆運びしやすいです。(必ず、基本的な位置はありますが、自身が使いやすい位置においてもらってもOK)

筆を運ぶ流れ

①墨をつける
(①には原液が入っています)
 ↓
②皿である程度水分をきる
(②は水と墨を混ぜ調墨をした墨が入っています。)
 ↓
③いらない紙で簡単に色合いと水気を確認する
 ↓
④本番の紙に描く

この流れで描くとあまり失敗なく描くことができます。

※一度②で調墨しその色で描く場合は、①は除いて②→③→④の繰り返しになります。


本格硯バージョン

前提準備

・②の硯であらかじめ墨は磨っておいてください。(墨の磨り方はこちら

・筆は、筆新いなどに一度つけて軽くふいて、湿った状態

・①には淡墨を入れます。(水と墨を混ぜた灰色の淡い墨)

・②は調墨皿です。(墨の調整をします。)

筆を運ぶ流れ(三墨法の場合)

三墨法についてはこちら

※本格バージョンなので調墨皿も用意しました。
(墨汁でこれを使ってもOKです。)

①で淡墨を取ります。
必要に応じて、水を先につける場合は、淡墨の前に筆洗で筆に水を含ませます。

※水分が多くなる時は、紙で水分を取りましょう。

 ↓

②次に硯から濃墨を取ります。

 ↓

③調墨します。筆でグラデーションを表現。

 ↓

④必要に応じてグラデーションの具合や、水分量をここで調節します。

そして、紙に描くという感じです。


さて、今回は描く前段階の予備知識についてお伝えいたしました。

参考になれば幸いです。

わからないことや質問があれば、お気軽にお問い合わせください。

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