遠いものと近いもの ぼかし編
今回はぼかしの使いどころのお話です。
今回は滲み(にじみ)の表現をうまく使って遠いものと近いものをうまく表現していきましょう。
どちらかというとフォーカスの表現といってもいいかもしれません。
特に今回使うものは、
・きれいな水 (水差しなどに入れる)
・濃い墨(濃墨) (原液でもOK)
・淡い墨(淡墨) (これはこの後作ります。)
・そして調墨用の皿です。 (上記の墨とは別で必要になります。)
今回の目標:空間をより引き立たせる「ぼかし」
近いものと遠いもの サイズ編でもお伝えしましたが、
そもそも近いものと遠いものをうまく表現することによって何ができるかというと
それは、描く絵の中に空間を作り出すことです。
大げさに言うと立体的な空間を作り出すということです。
言葉ではわかりにくいかと思いますので、絵を使って説明しますと
例えば、以下の1枚目の絵は普通に平面的な絵です。
ですが
2枚目の画像の場合は、近しいものと遠いものを表現することで、「奥行き」を表現できます。
ぼかしを使ってフォーカスを表現できる
例えば次の蝶の写真を見てみてください。
(久しぶりに水墨画以外のカラフルな写真をみるとより一段ときれいに見えてしまいますね(笑))
普段何気なく撮影し何気なく見ている写真ですが、上記の写真を意識してみると
蝶はくっきりと映っていますが、背景はぼけていることがわかります。
(そもそも、写真で撮影しようとしていずれかにピントを合わせると距離が違うものはこのようにぼけてしまうことは致し方ないのですが)
写真のようにピントを合わせることで
・視点は自ずとフォーカスしたい対象に集まり、
・ボケた部分があることで空間を感じ取ることができます。
これを水墨画でも行うというわけです。
表現方法
表現方法は、
と同じです。
今回は、この使いどころが重要となります。
▼たとえば、こちらの作品の場合。
(縦長ですみません)
こちらの場合、手前の猫にピントを合わせたいですので、ピントの合っている猫の部分は普通に描き
後ろのボケている花瓶の部分は、ぼかして表現します。
こうすることで猫に自然と目が行き(だれもこれが花の絵だとは思わない)
奥行きのある空間も表現できます。
もちろん逆の表現も可能です。
奥の被写体を目立たせたい場合は、奥のものにピントを合わせるように描き、手前のものをぼかして表現することで、逆のパターンも可能です。
最後に
さて、今回はぼかしの表現を使ってより空間をアーティスティックに表現する方法をお伝えしました。
うまくぼかしができないなという方は、こちらにぼかしの表現についての記事もあるのでまずはこちらで練習してみてください。
ぼかしの表現は全然大丈夫という方は是非今後の水墨画の作品に活かしていただければ幸いです。
※もう一つ最後に※
ぼかしは実はいろんな表現方法が可能です。
今回はあくまで、空間を表現する際の補助的な方法としてお伝えしましたが、ぼかし=遠近というようなイメージは持たないようにお願いいたします。
ぼかしで毛並みを表現したり、ふわふわ感を表現したり、水墨画に限ったことではありませんが、”要は見せ方”ですので、先入観なくいろいろ試してみてくださいね。
記事に関する質問やわからないことやリクエストがあればお気軽にお問い合わせください。