コラム

線で描くか? 面で描くか?

筆とイラスト

わたしは、一般的にいう「筆ペン」でイラストを描くこともあります。

実は、筆ペンで描く絵と水墨画として描く絵は、何となく思い浮かべるものは一緒に感じるかもしれませんが、実は表現の幅で大きく異なります。

(もちろん水墨画やイラスト玄人の方々にとっては当たり前かもしれませんが)


筆ぺんの表現

筆ペンの写真
筆ペン 一度は皆さん見たことがあるのでは?

筆ペンとはそもそもこういうやつです。

あまりイラストや絵を描いたことのない方からすれば、

筆ペンで描くイラストと毛筆で描くイラストは、

「何が違うのか?」

とか

「作品の雰囲気とか一緒な感じじゃね?」

と感じてしまうかもしれませんね。

筆ペンの水墨画で筆で描くときとの違い

【筆ペン】【毛筆】
黒(or 単色)黒~グレー(自由自在)
細かい線が得意細い線から太い線まで

*詳しく書くと、描き手次第な部分もありますが、今回はわかりやすく説明するために割愛

筆ペンの水墨画で筆で描くときとの違いは、上記の表のような

・色の幅
・筆の短さ

と私は考えています。

※黒単色というのは、にじませるペンなどあれば例外が発生しますが、ここでは初心者むけにざっくりと


筆ペンのよさ

私は、決して筆のほうが筆ペンよりも優秀と言いたいわけではありません。

それぞれ一長一短があります

筆ペンの良さは、なんといっても

まずは、「お手軽感」です。

墨を用意する必要すらありません。

(ほんとこれはラクですよね(笑))

キャップを外せばすぐに描けます。

(なんてらくちんw)

そして、価格も安いです。

もう一つが

「細い線が得意」

ということです。

もちろん、筆ペンのサイズにもよりますし、筆でも筆ペン以上に細い線を描くことができますが、市販されている筆ペンは、そもそもはがきなどに細かい文字などを描くことも想定しているため、細かい線が得意です。

▼例えばこんな感じンイラスト▼

筆ペンで描くイラスト筆ペンで描くイラスト
昔々に管理人が筆ペンで描いたイラスト

筆ペンと毛筆の作品は違う

結局何が言いたかったというと

「和の雰囲気のイラスト」というイメージを持っていると筆ペンで描いたイラストも筆で描いた水墨画もほぼ一緒のように見えるのですが、

その世界に触れるとわかるのですが、やはり「筆ペン」で描けるものと「筆(水墨画)」では明確に違うものがあります。

そして、水墨画は、その表現のはばがかなり広い!

(ような気がします。あくまで作者の感覚ですが!)


線で描くか、面で描くか?

さて、話が筆ペンのほうにかなり脱線してしまいました。

ここからがコラムの本題です。

(前置きが長くてすみません)

筆ペンで描く場合、ほとんどが”線”で描きます。

が、水墨画を筆で描く場合は、描き方に幅を持たせることができます。

要するに、下の画像の左のように筆ペンのように線で描くこともできれば、右の絵のように面で描くこともできるからです。

▼線で描いた場合▼

▼面で描いた場合▼

※側筆や描き方について詳しくは「こちら」を参照

※ちなみにこの筆の面を使って表現する方法を「没骨法(もっこつほう)」と言いますが、最初は覚えなくても良いです。


表現の幅は面白い

水墨画を描く上での楽しみはいくつかあるのですが、その一つがこの今回の「面」で描くという点と私は考えています。

わかりやすく「面」と書いてしまいましたので、語弊があるかもしれませんが、ただべたっと面で塗りつぶすのではなく、

先の画像のようにグラデーションを使って表現ができます。

もちろんこれも面で描いている方がうまいとか、正しいとかそういうものではありません。

そこに正解もありません。

描く人次第です。

ただ、水墨画という狭いカテゴリーの中にあるにも関わらず、描き手が自由に描き方を選んで作画できる「遊び」と「深み」があります。

(ということを伝えたくて今回のコラムを書いた次第です。)


あとがき

私も昔は鉛筆で落書きしていたような子供でした。

要するに、線で描くのが多かったんです。

なので、水墨画を始めたころも線での作品が多いです。

ですが、面(正しくは側筆)でグラデーションのある表現を出すことも楽しいわけです。

とくに、グラデーションはある程度感覚的に味は調整できますが、まったく同じグラデーションの色を出すのは難しいです。

そこがまた「生き物」を扱ってるようで楽しいわけですが、

水墨画ってこんな感じなんだくらい思ってくれると嬉しいと思い今回はコラムを執筆いたしました。

興味のある方は、このサイトを活用して是非水墨画を楽しんでみてください。

今回のコラムの感想や質問などあればお気軽にご連絡ください。

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